オーバーステイしてしまうとどうなる?出国命令制度についても解説
在留資格をもって日本に在留する外国人は、一部を除いて在留期間があります。
在留期間を過ぎて日本に在留するとオーバーステイとなり、不法滞在の状態です。
この状態で引き続き日本に滞在し続けると、最悪の場合二度と日本に入国することができなくなってしまうので、必ず期限を把握しておきましょう。
しかし、つい、うっかり在留資格の更新を怠ってしまった場合にはどのような対策が考えられるのでしょうか。
この記事ではオーバーステイ(不法滞在)の状態になってしまった場合の対応方法について解説します。
オーバーステイするとどうなるのか
在留資格は永住者などを除いて、定められた在留期間があります。
1日でも過ぎてしまった場合はオーバーステイ(不法滞在)となります。
オーバーステイは違法な状態であり、出入国管理及び難民認定法の第70条により、罰則が規定されています。
出入国管理及び難民認定法
第70条
次の各号のいずれかに該当するものは、三年以下の懲役若しくは禁錮若しくは三百円以下の罰金に処し、又はその懲役若しくは禁錮及び罰金を併科する。‐省略
第5項
在留期間の更新又は変更を受けないで在留期間を経過して本邦に残留するもの。
また、第24条により、退去強制の対象でもあります。
出入国管理及び難民認定法
第24条
次の各号のいずれかに該当する外国人については、次章に規定する手続により、本邦からの退去を強制することができる。‐省略
第4項ロ
在留期間の更新又は変更を受けないで在留期間を経過して本邦に残留するもの。
上記のとおり、オーバーステイは法令違反であり、一刻も早く違法な状態を解消する必要があります。
万が一不法残留(オーバーステイ)してしまったときは
オーバーステイしてしまった場合には、強制退去の前に「出国命令制度」を利用することをおすすめします。
これは、自ら出入国在留管理局(入管)に出頭し、帰国を希望することで、収容されずに出国し、再入国できない期間の短縮が可能となります。
入管に摘発され、退去強制の対象になった場合と比べると、下記のとおり処罰が緩和されます。
(参考)出入国在留管理庁:出国命令制度について
入国不可の期間が大幅に短くなることを考えると、出国命令制度を利用し、自ら入管に出頭することが望ましいでしょう。
なお、出国命令制度が適用される条件は、以下のとおりです。
- 速やかに出国することを希望し、自ら地方出入国在留管理局に出頭したこと。
- 違反が不法残留(オーバーステイ)のみであること。
- 窃盗その他一定の罪により懲役刑などの判決を受けていないこと
- これまでに強制送還されたり、出国命令により出国したことがないこと。
- 速やかに出国することが確実であること。
上記に該当しない場合でも、オーバーステイは違法ですので、犯罪を重ねる前に速やかに出頭することをオススメします。
出国せず日本に滞在し続けることはできるのか
オーバーステイの状態で速やかに出国しなければならない場合でも、家庭の環境等によりどうにかして日本に滞在し続けたいとい方もいらっしゃるかと思います。
原則として、日本から速やかに出国しなければならないところ、様々な事情を考慮して例外的に日本での在留を認める在留特別許可という制度があります。( 詳しく)
これは非常に特別な措置であるため、簡単に在留の許可が下るわけではありませんが、方法としては存在します。
審査期間は半年から1年ほど要する可能性もあり、相当な覚悟を持って望む必要があるでしょう。
オーバーステイでお悩みの方
繰り返しますが、在留期間を一日でも過ぎた場合は、たとえ故意ではなくとも法令違反となります。
しかし、発覚を恐れてオーバーステイの状態を解消しない方も残念ながら一定数いらっしゃいます。
その状態で日本に滞在し続けるのは非常に難しく、オーバーステイだけではない様々な法律違反を重ねることになるはずです。
誠意を持って行動し、然るべき措置を受け、きれいな状態で再度日本に滞在する準備をしましょう。
行政書士アット法務事務所では、オーバーステイとなった場合の出入国在留管理局(入管)への提出書類等のアドバイスも行っております。お困りの方はお問い合わせください。