在留特別許可とは?考慮される事由を事例を交えて解説

在留特別許可イメージ

オーバーステイや、その他不正に日本に滞在している外国人は退去強制事由に該当し、日本から速やかに出国しなければなりません。
しかし、様々な事情から、どうしても引き続き日本に滞在したい場合には在留特別許可という制度を検討します。
この記事では、在留特別許可の概要、該当する場合の要件等について解説します。

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在留特別許可とは

在留特別許可とは、出入国管理及び難民認定法(入管法)第24条に規定される退去強制事由に該当するため、本来であれば退去強制される外国人に対し、法務大臣が特別に在留を許可するべき事情があると判断した場合に特別に在留を許可する制度です。
在留特別許可を受けた時点で、合法的に日本に滞在できることになります。

似た用語に上陸特別許可があります。
これは文字どおり、日本に入国するための特別な措置です。

在留特別許可を得られず、本国へ帰国後、再度日本へ入国できない方は、上陸特別許可を検討すると良いでしょう。

どのような事情を考慮するのか

ただ、在留を希望するだけでは、許可が下ることはなく、出入国在留管理庁は様々な事情を考慮し、総合的に判断しています。
中でも以下に挙げるような、子どもが親とともに暮らすという利益の保護は積極的に考慮される事情と言えます。

  1. 該当外国人が日本人又は特別永住者との間に出生した実子
  2. 当該外国人が、日本人又は特別永住者との間に出生した実子を扶養している場合であって、次のいずれにも該当すること
    1. 当該実子が未成年かつ未婚であること、又は成年であるものの身体的若しくは精神的障害により監護を要すること
    2. 当該実子と現に相当期間同居し、当該実子を監護及び養育していること
  3. 当該外国人が、日本人又は特別永住者と法的に婚姻している場合であって、夫婦として相当期間共同生活をし、相互に協力して扶助しており、かつ、夫婦の間に子がいるなど婚姻が安定かつ成熟していること
  4. その他正規に日本に在留する外国と上記と同様な関係にある場合等

その他にも、在留している期間や持病、本国の情勢等様々な事情が考慮の対象となりますが、とりわけ、子どもの利益の保護は積極的に考慮されていると考えられます。

赤ちゃんの在留資格

(参照)在留特別許可に係るガイドライン

出入国在留許可庁

在留特別許可の事例

在留特別許可の詳しい要件等を公開されていませんが、出入国在留管理庁ホームページでは、毎年許可、不許可の事例を更新されているため、参考にすることができます。

日本人の配偶者の場合

許可された事例

スクロールできます
発覚理由違反内容在日期間違反期間婚姻期間子の有無刑事処分許可内容
出頭不法残留4年3月1年9月4月1人
(未成年)
日本人の配偶者等
在留期間1年
出頭不法残留6年7月3年2月1年2月日本人の配偶者等
在留期間1年
出頭不法残留2年3月1年8月9月1人
(未成年)
日本人の配偶者等
在留期間1年
出頭不法入国10年6月10年6月2年9月1人
(未成年)
日本人の配偶者等
在留期間1年
逮捕不法就労助長罪4年11月3年9月不法就労助長罪により
罰金20万円の略式起訴
日本人の配偶者等
在留期間1年

許可されなかった事例

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発覚理由違反内容在日期間違反期間婚姻期間子の有無刑事処分特記事項
出頭刑事法令違反
不法残留
4年1年10月1年11月無免許過失運転致傷により懲役8月
執行猶予3年の判決
退去強制歴あり。
逮捕売買周旋及び
不法就労助長罪
10年1月3年8月売春防止法違反及び不法就労助長により
懲役3年、執行猶予4年、罰金150万円の判決
自己が経営する店において、売春を行う場所を提供し、複数の外国人を不法就労させたもの。
配偶者と別居中。
逮捕刑事法令違反9年1月1年4月7年窃盗により懲役2年8月の判決特殊詐欺に関わり、窃盗を繰り返していたもの。配偶者との同居の実態が認められなかったもの。
虚偽の申告により在留資格を得ていたもの。
逮捕不法入国18年2月2年6月2年10月ブローカー経由で入手した他人名義旅券を行使して不法入国したもの。
退去強制歴あり。
逮捕薬物法違反21年3月1月1人
(未成年)
覚醒剤取締法違反、関税法違反により懲役9年、罰金500万円の判決覚醒剤の密輸に関与していたもの。
在留特別許可歴あり。

配偶者が正規に在留する外国人の場合

許可された事例

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発覚理由違反内容在日期間違反期間婚姻期間子の有無刑事処分許可内容
職員探知不法残留2年2年2年2月1人
(未成年)
定住者
在留期間1年
出頭不法残留4年3年11月1年6月1人
(未成年)
定住者
在留期間1年
出頭不法残留8年6月7年6月1年6月
(妊娠中)
永住者の配偶者等
在留期間1年
出頭不法残留3年5月5月1年6月家族滞在
在留期間1年

許可されなかった事例

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発覚理由違反内容在日期間違反期間婚姻期間子の有無刑事処分特記事項
職員探知不法残留2年1月1年10月11月配偶者は在留資格「永住者」本国に未成年の実子2人あり。
逮捕売買周旋及び
不法就労助長罪
9年2年3月不法就労助長、売春防止法、風営法違反により
懲役2年、執行猶予4年、罰金50万円の判決
配偶者は在留資格「経営・管理」
自己が経営する店において、売春を行う場所を提供し、外国人を不法就労させたもの。
逮捕刑事法令違反12年11月5年4月1人
(未成年)
有印公文書偽造により、懲役2年、執行猶予3年の判決配偶者は在留資格「特定活動」
出頭不法残留5年4年10月1年10月入管法違反、無免許運転により懲役2年執行猶予3年配偶者は在留資格「永住者」

未成年の子どもがいる家庭への配慮

上記の事例のとおり、子どもの有無や、在留・婚姻の期間等様々な事情が考慮されます。
特に日本人の配偶者との間に未成年の子どもがいる場合、人道的な配慮から許可されるケースがあります。
しかし、これらもあくまで軽微な違反であり、今後日本に在留することが脅威ではないと判断された場合のみです。

在留特別許可は最終手段

在留特別許可は審査に長い期間を要し、ご家族も不安な時間を過ごすことになるかと思います。
知らず知らずのうちに違反を犯すことのないよう、必ず法律を理解し、遵守することが大前提です。

しかし、ついうっかりオーバーステイをしてしまった等で退去強制事由に該当した場合には、状況次第では日本に滞在し続けることができるかもしれません。
事前の準備や、覚悟が必要な手段になりますから、ご家族でしっかりと話し合い決断しましょう。

当事務所では、在留特別許可に関する相談業務もおこなっております。
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