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特定技能の支援計画は内製化すべき?登録支援機関への委託との比較

支援計画の内製化

1号特定技能外国人を雇用する際に重要となるのが支援計画の実施体制です。

この支援計画は、特定技能制度のみに義務付けられた外国人支援制度です。
この支援を怠ることは罰則の対象となり、以後の外国人の受入れに影響も及ぼしますので、必ず適切な支援計画の実施を行う必要があります。
そのため、自社で支援を行わず、実績のある登録支援機関に委託することで法令を遵守する事業者も多いです。

しかし、委託するということはそれだけコストが発生していると同時に、外国人とのコミュニケーションの機会を逃しているとも考えられます。
委託のメリット、デメリットを踏まえて支援計画を立てていきましょう。

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自社支援を行うためには?

1号特定技能外国人を自社で支援するためには、以下の基準を満たし、自社で支援する体制が十分あることが必須です。

  1. 過去の受け入れ実績
  2. 外国人が理解できる言語で支援できる体制
  3. 支援の実施状況を管理、報告できる体制
  4. 中立的な立場で支援できる体制
  5. 支援実施が適切に行われている
  6. 定期面談が可能な体制
  7. 分野に特有の基準に適合している


この基準を満たしていない場合は、必ず登録支援機関( 詳しくに支援の全てを委託する必要があります。

1. 過去の受け入れ実績

以下のいずれかの条件を満たしている必要があります。

  • 過去2年間に就労資格を持つ外国人を適切な管理の下に受け入れた実績がある。

事業者が適切な管理の下で受け入れた実績が必要なため、入管法や労働法に違反していた場合には該当しません。

  • 過去2年間に就労資格を持つ外国人の生活相談業務に従事経験を持つ役職員がいる

事業者として受け入れた実績がなくても役職員が就労系の在留資格をもつ外国人の生活相談業務を行ったことがあり、その者が支援責任者、担当者を選任することができる場合には要件を満たします。
例えば、前職で外国人の受け入れに関わる部署で勤務し、十分な生活相談業務の経験がある等です。

2. 外国人が理解できる言語で支援できる体制

外国人が十分に理解できる言語で支援できる体制が必要です。
支援計画の中には事前ガイダンスや生活オリエンテーション等、外国人が日本で生活する上で正確に理解しておく必要がある項目もあります。
それらの支援はもちろん外国人が理解できる言語で行わなければなりません。
これは必ずしも母国語である必要はなく、理解できる言語であれば問題ないです。

3. 支援の実施状況を管理、報告できる体制

1号特定技能外国人の受け入れ機関は支援の状況に係る文書を作成し、これを保管する義務があります。

4. 中立的な立場で支援できる体制

支援責任者と支援担当者が特定技能外国人を中立的な立場で支援できる者であることが求められます。
具体的には特定技能外国人と異なる部署に所属している等、指揮命令権を有しないものをいいます。
異なる部署であっても実質的に指揮命令権があるとされるような、代表取締役、その部署を監査する部署の長等は含まれません。
このことからも、人事、労務、総務等の部署の職員等を選任することが望ましいでしょう。

5. 支援実施が適切に行われている

過去5年間以内に支援計画に基づく支援を怠っていないことが求められます。

6. 定期面談が可能な体制

支援責任者、責任担当者は特定技能外国人だけではなく、その人材を監督する立場にある者とも定期的な面談を実施できる体制が必要です。
この面談は必ず直接に対面して行う事が必要です。

7. 分野に特有の基準に適合している

特定技能で就業できる特定産業分野には12の分野があり、その分野ごとに特有の基準が定めれられている場合がありますので、自社が受け入れたい分野の基準はチェックしておきましょう。
各基準は、分野所管省庁の定める告示で規定されています。

支援を内製化するメリットとデメリット

上記の基準を満たしていれば、自社支援自体は可能になります。
では、支援を内製化することによるメリット・デメリットはどのようなものが考えられるでしょうか?

支援を内製化するメリット

支援を内製化するメリットとして、以下が挙げられます。

委託に係るコストの削減

支援の内製化によって、支援委託費の削減に繋がります。
令和4年9月末時点では、特定技能人材1名あたりの登録支援機関への支援委託料の平均は、月額28,386円であり、年間約34万円となります。

(引用元)出入国在留管理庁:技能実習制度及び特定技能制度の在り方に関する有識者会議(第8回)特定技能制度の現状について

この金額をどのようにとらえるかは事業者の体制によっても変わってきますが、ある程度の人数を特定技能外国人として受け入れた場合には、コストが重く感じられる場合もあるでしょう。
また、支援計画には定めらていない給与計算や日々のコミュニケーション等、自社でしかできないサポートも発生することを考えると、すべて社内で完結させてしまう方が効率が良い可能性があります。

問題への迅速な対処

外国人雇用を行うと、どうしても日本人の雇用とは違ったトラブルが起こるものです。
これらの対応を自社で全て行えると、問題を迅速に解決することも可能です。
ノウハウのある登録支援機関へ依頼することで自社にない解決策を取ることも可能ですが、緊急時には社内の一義的なプロセスの中で対応するほうがスピード感があります。
結果的に雇用する外国人の満足度向上にもつながります。

支援ノウハウの蓄積

社内で支援業務を行うと、当然ノウハウを蓄積することができます。
外部に委託していたときには気づくことができなかった支援の課題や効率化のポイントも見つかるかもしれません。
これらを社内の部署でマニュアル化・システム化し共有することで、人事異動や退職等があった場合でも、継続的に安定した外国人支援を行うことができます。

支援を内製化するデメリット

支援内製化ができることが理想的に感じますが、内製化によるデメリットはあるのでしょうか?

社員の負担増加

当然ではありますが、内製化する場合は支援業務の全てを社内で行う必要があります。
外国人の支援や管理のためだけの部署を立ち上げるだけの規模感があれば良いですが、少数の外国人の支援の場合は、どうしても既存の業務と兼務しなければならない社員がでてきます。
組織のキャパを超えないような配慮が必要でしょう。

手続漏れのリスク

知識不足や社内の組織化の不十分さから、支援業務に関わる手続の不備や、提出漏れのリスクも考えられます。
これらのリスクは登録支援機関に委託しているからといって完全に排除できるわけではありませんが、自社と外部でダブルチェクを行う事もできます。
健全な運営のためにも、自社支援を行う場合は最低限の手続について理解できる人材が必要でしょう。

組織の立ち上げに時間がかかる

支援体制を自社で整えるには、組織体制の構築のための労力や人材育成等、多くの時間やコストを要します。
また、一度組織を作った後にやはり外部委託がよいとなってしまった場合の時間的、金銭的損失は大きいです。
その点、登録支援機関への委託は契約を終了すればよいだけなので、手離れが良い支援方法といえます。

特定技能ビザのことでお困りのときは

1号特定技能外国人の採用を検討するにあたり、支援計画の実施にかかるコストや工数は重要なポイントになります。
事業者としてはコストのみならず、どれだけ外国人にとって魅力的な社内環境を整えるかを考えることが重要となるでしょう。
より長く、いきいきと働いてくれるための最良な選択ができるよう社内で十分に検討してください。

行政書士アット法務事務所は在留資格の手続のみならず、採用の設計段階からサポートさせていただいております。
外国人採用でお困りの事業者様は、お気軽にお問い合わせください。

お早めに専門家にご相談ください

人材不足により、特定技能外国人の雇用に踏み切ることは事業者様にとっても大きな決断となります。
自社にとって本当に最適な選択なのか、そもそも検討している業務で特定技能外国人を雇用することは可能なのか等、不安や疑問な点もあることかと思います。
行政書士アット法務事務所では受け入れを検討する段階から、事業者様にとって最適な決断をするためのサポートを行っております。
まずはお気軽にお問い合わせください。

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