特定技能「鉄道」で外国人を受け入れるための基礎知識

慢性的な人手不足から、特定技能外国人の採用を検討されている鉄道事業者は年々増加しています。
この記事では、特定技能「鉄道」で外国人の雇用を検討されている事業者様へ、制度概要や雇用の流れ等について解説していきます。

（参考）国土交通省：鉄道分野における新たな外国人材の受入れ

特定技能「鉄道」で可能な業務内容とは

特定技能「鉄道」では、１号特定技能外国人を対象としており、認められている業務の内容は、以下のとおりです。

軌道整備

軌道検測作業、レール交換作業、まくらぎ交換作業、バラストを取り扱う作業、保安設備を取り扱う作業等、 軌道等の新設、改良、修繕に係る作業・ 検査業務　等

電気設備整備

電路設備、変電所等設備、電気機器等設備、信号保安設備、保安通信設備、踏切保安設備等の新設、改良、修繕に係る作業・検査業務　等

車両整備

列車検査、定期検査、臨時検査、構内入換、駅派出対応、改造工事、在庫・予備品管理、工場設備取扱い、定期・臨時清掃業務　等

車両製造

素材加工、部品組立て、構体組立て、塗装、 溶接、 ぎ装、台車枠製造、台車組立て、電子機器組立て、電気機器組立て、試験・検査、部品検収・配膳業務　等

運輸係員

ポイント操作、入換え合図、 駅設備管理・取扱業務、旅客案内・貨物取扱業務、運行管理業務、車掌業務、運転士業務　等

特定技能「鉄道」で外国人を雇用するには

外国人本人が満たすべき要件

• 鉄道分野において特定技能１号の在留資格で受け入れる外国人は 、以下の表の技能試験及び日本語試験の合格が必要となります。
• １号特定技能外国人が従事する業務区分に応じ、以下の表に記載された職種・作業の技能実習２号を良好に修了した者については上記の試験が免除されます。
• 以下の表に記載された職種・作業以外の技能実習２号を良好に修了した者については 、 国際交流基金日本語基礎テスト及び日本語能力試験（Ｎ４以上）のいずれの試験も免除されます （ただし、日本語能力試験（Ｎ３以上の合格が求められる運輸係員の業務区分は 除きます） 。
• 鉄道分野においては、特定技能２号での受入れを行うことはできません。

特定の分野に係る特定技能外国人受入れに関する運用要領から抜粋（鉄道分野の基準について／法務省・国土交通省編）

 表をクリックすると拡大します

受け入れ側の事業者が満たすべき要件

受け入れ側の事業者は、特定技能の受入れ機関として、以下の要件に適合する必要があります。

すべての特定技能分野の事業者に共通する要件

すべての特定技能分野の事業者に共通する基準が以下になります。

• 外国人と結ぶ雇用契約が適切であること
• 受入れ機関自体が適切であること
• 外国人を支援する体制があること
• 外国人を支援する計画が適切であること

この基準について詳しくは、 こちら をご参照ください。

鉄道特有の事業者が満たすべき要件

さらに、この基準に加えて、自動車整備分野特有の企業が満たすべき要件として以下が挙げられます。

• 鉄道事業法および軌道法に基づく鉄道事業者、軌道経営者、または鉄道事業軌道事業に関連する事業を営む者であること
• 鉄道分野特定技能協議会に加入し必要な協力を行うこと
• 国土交通省による調査、指導等に対する協力すること

鉄道事業法および軌道法に基づく鉄道事業者、軌道経営者、または鉄道事業軌道事業に関連する事業を営む者であること

特定技能外国人を受け入れる事業者は、鉄道事業法（昭和61年法律第92号）による鉄道事業者、軌道法（大正10年法律第76号）による軌道経営者その他鉄道事業又は軌道事業の用に供する施設若しくは車両の整備又は車両の製造に係る事業を営む者であることが求められます。

鉄道分野特定技能協議会に加入し必要な協力を行うこと

特定技能「鉄道」では、特定技能外国人を受け入れる事業者は、国土交通省が設置する鉄道分野特定技能協議会に加入し、加入後は、協議会に対し、必要な協力を行うなどしなければなりません。

鉄道分野特定技能協議会

また、在留資格特定技能の申請手続の際に協議会の構成員であることの証明書の提出が必要になります。

これらの届出や協議会に対する必要な協力を怠ると在留資格の要件を満たさなくなり、外国人の受入れができなくなる可能性があるので、必ず行うようにしましょう

国土交通省による調査、指導等に対する協力すること

事業者は、鉄道分野への特定技能外国人の受け入れに関し、国土交通省が行う必要な調査、指導情報の収集、意見の聴取その他業務に対して必要な協力を行わなければなりません。

特定技能「鉄道」で外国人の雇用を検討されるときは

鉄道分野は令和6年の閣議決定で新たに追加された新しい分野で、事例が少ないこともあり、自社のみで雇用に関する全ての手続を完結させることが不安な事業者様も多いと思います。
しかし、特定技能制度は、人手不足を解消するための重要な手段の一つになっており、労働環境や待遇を整えて優秀な特定技能外国人を採用できれば、事業の安定的運営につながることも確かです。

行政書士アット法務事務所は、特定技能ビザ申請のサポートを行っておりますので、特定技能外国人の受け入れを検討されている事業者様は、ぜひお気軽にお問い合わせください。