特定技能「自動車運送業」で外国人を受け入れるための基礎知識
担い手不足への対応が喫緊の課題となっている自動車運送業分野(バス、タクシー及びトラック運転手)では、外国人ドライバーの採用は不可欠になってきています。
この記事では、特定技能「自動車運送業」で外国人の雇用を検討されている事業者様へ、制度概要や雇用の流れ等について解説していきます。
(参考)国土交通省:自動車運送業分野における特定技能外国人の受入れについて
特定技能「自動車運送業」で可能な業務内容とは
特定技能「自動車運送業」では、1号特定技能外国人を対象としており、認められている業務の内容は、以下のとおりです。
- トラック運転者
-
・運行業務(運行前後の車両点検、安全な貨物の輸送、乗務記録の作成等)
・荷役業務(荷崩れを起こさない貨物の積付け等)
- タクシー運転者、バス運転者
-
・運行業務(運行前後の車両点検、安全な旅客の輸送、乗務記録の作成等)
・接遇業務(乗客対応等)
関連業務について
当該業務に従事する日本人が通常従事することとなる関連業務に付随的に従事することは差し支えありません。
なお 、 関連業務に当たり得るものとして 、 例えば 、 次のものが想定されます。
- 車両の清掃
- 運行前後の準備、片付け
ただし、専ら関連業務に従事することは認められません。
特定技能「自動車運送業」で外国人を雇用するには
外国人本人が満たすべき要件
- 自動車運送業分野においては、特定技能2号での受入れを行うことはできません。
- 1号特定技能外国人として自動車運送業分野の業務に従事する場合には 、以下の表に記載された技能試験及び日本語試験の合格並びに日本の自動車運転免許の保有が必要となります。
- トラック運送業においては、修了した技能実習2号の職種・作業の種類にかかわらず、技能実習2号を良好に修了した者については、国際交流基金日本語基礎テスト及び日本語能力試験(N4以上)のいずれの試験も免除されます。
- タクシー運送業及びバス運送業においては、以下の表に記載された技能試験及び日本語試験の合格並びに第二種運転免許の保有に加え、新任運転者研修の修了が必要となります。当該研修の修了に当たっては、業界団体が定めた効果測定の基準に達する必要があります。
トラック | タクシー | バス | |
---|---|---|---|
技能試験 | 自動車運送業分野特定技能1号評価試験(トラック) 第一種運転免許※ | 自動車運送業分野特定技能1号評価試験(タクシー) 第二種運転免許※ | 自動車運送業分野特定技能1号評価試験(バス) 第二種運転免許※ |
※日本国内で運転免許を取得するための手続等に要する期間については、在留資格「特定活動」(バス運転手及びタクシー運転手については1年・更新不可、トラック運転手については6ヶ月・更新不可)で在留を認める。 | |||
日本語試験 | 国際交流基金日本語基礎テスト又は日本語能力試験(N4以上) そのほか、日本語教育の参照枠のA2相当以上の水準と認められるもの | 日本語能力試験(N3以上) そのほか、日本語教育の参照枠のB1相当以上の水準と認められるもの | 日本語能力試験(N3以上) そのほか、日本語教育の参照枠のB1相当以上の水準と認められるもの |
受け入れ側の事業者が満たすべき要件
受け入れ側の事業者は、特定技能の受入れ機関として、以下の要件に適合する必要があります。
すべての特定技能分野の事業者に共通する要件
すべての特定技能分野の事業者に共通する基準が以下になります。
- 外国人と結ぶ雇用契約が適切であること
- 受入れ機関自体が適切であること
- 外国人を支援する体制があること
- 外国人を支援する計画が適切であること
この基準について詳しくは、 こちら をご参照ください。
自動車運送業分野特有の事業者が満たすべき要件
さらに、この基準に加えて、自動車整備分野特有の企業が満たすべき要件として以下が挙げられます。
- 事業者は、国土交通省が設置する「自動車運送業分野特定技能協議会」(以下「協議会」という。)の構成員になることが必要です。
- 事業者は、協議会が行う一般的な指導、報告の徴収、資料の要求、意見の聴取、現地調査その他業務に対し、必要な協力を行わなければなりません。
また、協議会に対し、必要な協力を行わない場合には 、基準に適合しないことから 、 特定技能外国人の受入れができないこととなります。 - 事業者は、国土交通省又はその委託を受けた者が行う調査又は指導に対し、必要な協力を行うことが必要になります。
- 事業者は、道路運送法に規定する自動車運送事業(貨物利用運送事業法に規定する第二種貨物利用運送事業を含む。)を経営する者であることを要します。
- 事業者は、一般財団法人日本海事協会が実施する運転者職場環境良好度認証制度に基づく認証(働きやすい職場認証)を受けた者又は全国貨物自動車運送適正化事業実施機関が認定する安全性優良事業所(Gマーク)を有する者であることを要します。
- タクシー運送業及びバス運送業における事業者は、特定技能1号の在留資格で受け入れる予定の外国人に対し、新任運転者研修を実施することが必要です。
- 事業者は、登録支援機関に1号特定技能外国人支援計画の実施を委託するに当たっては、協議会の構成員となっており、かつ、国土交通省及び協議会に対して必要な協力を行う登録支援機関に委託することが必要です。
乗務開始までのプロセス
1号特定技能外国人が自動車運送業で乗務を開始するまでのプロセスは以下のとおりとなります。(特定技能制度(自動車運送業分野)の概要資料から/国土交通省)
表をクリックすると拡大します
特定技能「自動車運送業」で外国人の雇用を検討されるときは
冒頭でも述べましたが、自動車運送業分野では、外国人ドライバーの採用は不可欠になってきています。
特定技能制度は、人手不足を解消するための重要な手段の一つになっており、労働環境や待遇を整えて優秀な特定技能外国人を採用できれば、事業の安定的運営につながります。
行政書士アット法務事務所は、特定技能ビザ申請のサポートを行っておりますので、特定技能外国人の受け入れを検討されている事業者様は、ぜひお気軽にお問い合わせください。
お早めに専門家にご相談ください
人材不足により、特定技能外国人の雇用に踏み切ることは事業者様にとっても大きな決断となります。
自社にとって本当に最適な選択なのか、そもそも検討している業務で特定技能外国人を雇用することは可能なのか等、不安や疑問な点もあることかと思います。
行政書士アット法務事務所では受け入れを検討する段階から、事業者様にとって最適な決断をするためのサポートを行っております。
まずはお気軽にお問い合わせください。